暴動を恐れ、やむなく死刑を認めたローマ帝国の総督は、キリストの十字架の上に「罪状書き」をかけさせます。三つの言語で書かれたとも聖書にはありますが、よく見るのは「INRI」の文字。これは「IESUS NAZARENUS REX IUDAEORUM(ナザレのイエス、ユダヤ人の王)」の頭文字。「ユダヤ人の王(=救い主)と自称した」というのが、イエスが十字架にかけられなければならなかった理由。ローマ帝国の法に照らせばそれだけでは罪になりませんが、キリストを敵視する人々にとっては、神に対する重大な冒涜で、死に価する、というわけです。
(ドルー・ブデの画家またはアンドレ・ディープル作「パリ高等法院の磔刑図」、1450以前に着手、パリ、ルーヴル美術館、RF2065、2.26×2.70m)
(「ナルボンヌの祭壇布(部分:磔刑)」、1375年頃、パリ、ルーヴル美術館、MI1121、0.78×2.08m)
(アンドレア・マンテーニャ作「磔刑」、1456-1459年、パリ、ルーヴル美術館、INV368、76×96cm)
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